2022年12月3日座談会
【開催日時】2022年12月3日(土) 14:00~16:00
【開催場所】オンラインZoom
前回と同様に韓国、台湾、オーストラリア、日本の4カ国からのパネリストが土曜の午後オンライン上で一年振りに集まりました。そして今回は、シンガポールと香港からの視聴者も参加しアジアのネットワークも拡大しました。前回参加頂いた東京慈恵会医科大の小林正久先生にもお入りいただきとても繋がりのある会になりました。
昨年の第1回開催から丁度1年が経ち、そこからの活動報告を各団体から発表が4ヶ国語の同時通訳を介してありました。前回からオーストラリアは、国のファブリー病ガイドライン策定が男性のみを基準として作られて以来15年間見直しが一度もされず、女性の基準が加えられていない事を課題として政府に呼びかけてきた報告がされました。患者会と医師グループが企業と共に連携し患者の視点と提案を入れ込み2022年2月に発行された白書(確定診断後の治療への公平なアクセスを確保するためのエビデンスに基づく提案書)のプロジェクトが報告されました。今後、患者グループ主体で患者の視点や声を出し続け他と連携して出したこの見直しの要望にどうオーストラリア政府当局側が答えるか数ヶ月後にまた進展がわかるとの事でこの動向にも注目です。
今回モデレーターとして参加下さった大阪大学の酒井規夫先生と共に事前に行われた調査について討論しました。その調査結果で共通の心配事に家族計画についても出されました。この4カ国からの参加者が感じる今後満たされるべきファブリー病の女性の重要課題事項も挙げられました。治療へのタイムリーなアクセスとは、オーストラリアの例のように治療開始基準のハードルが高すぎる課題が出ていますが、一旦治療を受けられるようになれば、オーストラリアでは在宅ERTは標準的な患者の選択肢として既にあります。治療のために授業を休んで通院したり、お休みをとって何時間もかけて通院するこれを当たり前の事として受け入れてしまっている患者さんは多いのではないでしょうか。在宅ERTのトピックについても討論の中で触れられましたが、”自由な移動や旅行が難しい”との意見が出ているように、つまり治療を受けるために犠牲を伴う事に辛抱強く耐えているアジアの考えが反映されているように感じました。韓国と台湾においても日本と同様に在宅ERTが患者の選択肢となっていないのは、その患者自身の意識の差も大きくあるのではないかと思いました。日本の場合、ここに課題があるように感じます。この3年間、私たちは未曾有の感染症を経験して医療や病院も今までとは変化しています。患者自身が一生続ける治療中心の生活にするか、生活中心で治療を合わせるのか、今一度振り返る良い時期がきているのではないでしょうか。
パネリストとして参加された古賀愛さんより感想を頂きました。
今回初めて「アジア4か国でのファブリー病と女性」座談会に参加しました。座談会では事前アンケートの結果に基づいて、各国(韓国・台湾・オーストラリア・日本)の状況や考えを話し合いました。今まで海外の事情は一切知ることがなかったのですが、この座談会に参加したことで海外の治療環境・難病支援についての状況や多様な価値観を知ることができ、日本の恵まれている部分や逆にまだ足りていない支援・意識などを考えるきっかけとなりました。日本では女性のファブリー病ついて意識を向け始めてまだ期間が浅く感じており、まだまだ伸びしろがあると考えます。これから国内だけでなく国外でもアクティブに情報交換をし、選択肢を増やしていくことで「ファブリー病と共に生きる女性」の環境がより良い方向に進むことができると思いました。大変貴重な経験になりました、ありがとうございました。